2018.10.22
大塚 小雪(Star FACTORY)
  • Food
  • 京橋・OBP

profile

短大卒業後は1年間カナダに留学。2016年に帰国し、株式会社Star FACTORYに入社。現在は編集ライターとしてのスキルを磨くため、そして自分の新たな可能性を探るべく、日々勉強中。趣味は、旅行とスノーボード。三度の飯より柴犬が好き。

立ち飲み激戦区・京橋の名居酒屋

開店直後に超満員!?京橋駅から徒歩すぐ、
まぐろと気さくな大将が名物の立ち飲み屋「とよ」

アーケード商店街にたくさんの飲食店ひしめきあう京橋の街。そんな激戦区で、開店と同時に大行列ができる立ち飲み屋「京橋居酒屋 とよ」をご存知でしょうか?人気の秘密はなんといってもボリュームと安さ。そして、どこからともなく聞こえてくる大将の元気な声。多くの人を魅了する「とよ」の魅力に迫ります。
開店と同時に行列ができる「とよ」の正体とは?
お店はJR環状線「京橋駅」から徒歩1分。西口を出て商店街を背に歩きます。プレハブ小屋やテントが立ち並ぶ路地裏を進んで行くのですが、取材スタッフも「本当にこんなとこ場所にお店があるの?」と不安になってしまうほど。しかし、前方を見ると何やら人だかりが…。
▲お店がオープンするのは15時30分。この日は雨がパラつく悪天候にも関わらず、開店前からお客さんがちらほら。
ついに「京橋居酒屋 とよ」の看板を発見。
扉や壁はなく路面にテーブルが置かれているだけ。なぜこんなに人気があるのか、取材スタッフは開店準備中のお店にお邪魔して、お話をお聞きしました。
「店をはじめた頃はな、仕入れ用のトラックにこのぐらいのカウンターつけてやっとってん」と話す、とよの店主・筑元 豊次さん。鹿児島県喜界島出身で、15歳の時に集団就職で大阪にやってきました。

お店を開業したのは、平成4年11月20日。京橋の居酒屋で働いていた時代に「自分の店を持ちたい」という夢を持っていましたが、その当時はそんなお金がありませんでした。そこで、とよがある土地の大家さんで当時の常連客・吉村さんに「どうしてもお店を開きたいんや」と頼み込みました。

しかし、吉村さんは「こんなところでやっても絶対流行らんぞ」と反対。それでも「お店を持ちたい!」という筑元さんの想いは変わらず…。
そんな筑元さんを見て「お前は言い出したら聞かんからな。しゃあない、とりあえず頑張ってみろ!家賃も何もいらんから」と背中を押してくれたのだと言います。

そこから友人のサポートもあり、ついに念願のお店をオープン。
噂を聞きつけた居酒屋時代からの常連客がたくさん訪れ、お店は開業直後から大にぎわい!さらに口コミで広がり、どんどん人気に火がつきました。

人情味のある、京橋ならではの”人と人との繋がり”がお店を支えています。
そんなお店「とよ」に訪れた人が必ずオーダーする看板メニュー「おまかせ3点セット」。貝とカニの酢の物・まぐろ・うにいくらがセットになっており、まぐろは赤身、トロ、大トロから選べます。2〜3人前なのですが、このボリュームで2,400円〜(税抜)。
これを食べないわけにはいきません!
キンキンに冷えたビールを片手に、いざ実食!
席は立ち飲みスタイル(相席)で、飲み物はなんとセルフサービス。しかも、烏龍茶は150円で飲み放題というから驚きです。席にある瓶の数でお会計がカウントされるので、テーブルに置いておきましょう。
食材は、鶴橋市場や中央卸売市場で毎朝仕入れた新鮮なものばかり。本日のおすすめはボードに書かれています。

私たちがオーダーしたのは、
・おまかせ3点セット(トロを選択) 2,850円(税抜)
・はも焼造り 900円(税抜)
・まぐろホホ肉あぶり(1人前) 600円(税抜)
こぼれ落ちそうなうにやいくらを、贅沢にひと口で頬張ります。トロは舌の温度で脂がとろけていくような食感で、その美味しさは言葉にならないほど。なんとも幸せです。はも焼造りは、身がプリッとしていて、噛むごとに深い味わいを楽しむことができます。まぐろホホ肉あぶりは絶妙な炙り加減で、表面は香ばしく中はとろけるようにやわらか。どの料理もまさに絶品です。
お姉さんの笑顔も◎スタッフさん同士でも楽しくお話しながらテキパキと働いている様子は、見ていて気持ちがいいですね。
もう一つのとよ名物!ガスバーナーで炙る店主の豪快パフォーマンス
美味しい料理に舌鼓を打っていると、なにやら店内がざわつき始めます。
カメラを構えるお客さんたち。何かがはじまるようです。
ガスバーナーを点け、目の前で豪快に炙られていくまぐろ。驚くのはここからです。なんと氷水に手をつけ、炙ったまぐろを混ぜ始めました。

「熱くないんですか?」と聞くと「そりゃあ熱いよ!でもな、トングでやるとホホ肉が崩れてしまうし、ひとつ一つ返してる時間がもったいないやろ?」と一言。お客さんのことを思ってのこのサービス、さすがです。
▲「イェーイ!」とピースする大将。調理中は真剣ですが、カメラを向ければにっこり笑顔!パフォーマンスが終わると、思わず拍手が沸き起こります。料理の美味しさはさることながら、エンターテイメントの一面も兼ね備える、まさに大阪らしいお店です。
「オイ!持ってってよ〜!」と大将の元気の良い声が響きます。「朝4時から12時間働いてます!なんでこんな働くかわかりますか?それはな、儲かるからや!!ガッハッハッー!!!」と大阪の親父さんらしいトークでお客さんも大笑い!ボリューム満点な料理はもちろんですが、大将の人柄に魅了されて訪れる方も多いはず。

そんな店主・筑元さんの名言が「楽に楽しく生きる。そのためには①嘘をつかない ②人の倍働く ③素直で真面目に。これが一番楽な生き方や。わしもそうやってきた」と話します。
これだけ素材が良くて、ボリューミーかつ低価格。それを実現できるのは「より良いものを提供したい」という店主の熱い想いがあるからなのでしょう。
お酒を酌み交わしながら語り合う、呑兵衛の交流の場
気付けばあっという間に満席!平日の16時頃とは思えない盛況ぶりです。せっかくなので、お客さんにもお話を聞いてみました。
シンガポールから来たJonさんご夫婦。なんとこの日は、旅行の最終日。お店のことはネットで見つけて、”本当の大阪”を体験するためにやって来たのだとか。「Amazing!!」と大満足そうな表情を見て、取材班も思わず笑顔に。Have a nice trip!!
近くで飲んでいた男性2人組。鉄道関係で働いている上司と部下だそうで、休日に飲みに行くほど仲良し。話を聞いてみると、これまた興味深いんです。
2人ともイベントやフェスに参加するなどアクティブな方なのですが、赤い帽子を被った方はかなり多趣味で、スケボーやDJ、スパイスカレー作りなど様々。DJ名が『Dejirumasara』なのですが、この由来にもまた面白いストーリーがあり…。
取材班とも意気投合し、ハイボールをご馳走に。楽しい時間をありがとうございました!
大人数のグループだと思っていたのですが話を聞いていくと、実は相席でたまたま一緒になり、仲良くなったと言うのだから驚きです。
お酒に美味しい料理、夜風に当たりながら語り合えば、初対面でもすぐに打ち解けられてしまいます。

平日は15時30分から21時までの営業ですが、売り切れ次第で終了です。開店直後に満席になるので、開店前に並ぶのが吉。