2018.10.05
請川 俊之(Star FACTORY)
  • Activity
  • 天王寺・新世界・住吉

profile

2014年、株式会社Star FACTORY入社。フリーペーパーの編集、取材、 執筆をはじめ、企業ホームページのWEB原稿や広報誌の制作など、 幅広いジャンルの制作に携わる。現在は某グルメサイトの撮影を行うなど、 撮影もこなすカメライターとしても活動中。得意分野はエンタメと紀行文。 西成生まれ、西成育ち、一部伊丹成分が入ったほぼ生粋の大阪人だが、あまりそうは見られない。

阪堺電車沿線を巡る

思わず立ち寄りたくなるスポットがいっぱい!
チンチン電車でゆったり街巡り

大阪市内を走る唯一の路面電車「阪堺電気軌道」。その昔、警笛が「チンチン」と鳴ったことから(一部の電車では今でも鳴ります)、市民の間では「チンチン電車」、または「チン電」と呼ばれています。このチンチン電車は、天王寺駅前、もしくは恵美須町から浜寺駅前までを結ぶ電車で、お洒落なカフェが立ち並ぶ帝塚山周辺や、千利休ゆかりの地である堺の中心を経由。市民の足として盛んに利用されているため電車の本数が多く、一日乗車券を使えばたくさんの駅を巡ることが可能です。この記事では、大阪ビジネスカレッジ専門学校の学生3人と共に、チンチン電車に乗ったらぜひ立ち寄ってほしいスポットをご紹介します。
チンチン電車で街巡りをする時に便利なのがスクラッチ式の全線1日フリー乗車券「てくてくきっぷ」。乗車する年・月・日を1ヶ所ずつ削り取って、降車時に車掌さんに見せて使用するという少し珍しい形式が採用されています。
大人600円、小児300円で阪堺電車全線が利用できるというかなりお得な乗車券なので、沿線を巡るなら必須アイテム。今回は旅のスタート地点の「天王寺」駅前で券を購入し、早速スクラッチ!(てくてくきっぷは電車内でも販売されています)削り終わったら早速チン電に乗車します。
伝説の陰陽師ゆかりの神社がある、東天下茶屋
東天下茶屋駅周辺のスポットとしてぜひ立ち寄りたいのが、安倍晴明神社。小説や映画にも度々登場する、平安時代に活躍した陰陽師「安倍晴明」を祭る神社です。晴明はここ阿倍野の地で生誕したと伝わり、社伝によれば晴明没後2年の1007年にこの神社は創建されました。神社では、安倍家ゆかりの五芒星をかたどったお守りが販売されているほか、日替わりで占いのコーナーが設けられており、人気を集めています。
レトロ好きにはたまらない、古い内装が魅力の「金魚カフェ」
東天下茶屋からは少し離れていますが、江戸川乱歩や水木しげるが好きならぜひ立ち寄っていただきたいカフェがあります。その名も「金魚カフェ」。名前に大きな意味はないようで、金魚がたくさんいるというわけではないのですが、建物は大正時代からあるという町家を使用していて、レトロ感抜群。店主が気の向くまま集めたという個性豊かなグッズが店内に所狭しと並んでいて、まるで異世界に迷い込んだかのような気分に浸れます。江戸川乱歩のコレクションは店の奥の本棚に並んでいますが、水木しげるのグッズは1階にはないので、興味がある方は店主に話しかけてみてください。意気投合すれば、かなり手のこんだジオラマが設置されている、秘密基地のような2階へと案内してくれるはずです。
▲この金魚カフェの名物メニューは、小さな金魚鉢に入ったメロンクリームソーダ。清涼感あふれるフォトジェニックな見た目で、インスタにアップする人が多い模様。飲む時は少し混ぜてクリームを溶かすと、まろやかな味わいが楽しめます。(運ばれてすぐに混ぜると泡があふれるので、少し時間をおいて混ぜることをおすすめします)
お洒落なお店が乱立する姫松駅
帝塚山エリアの中でも、特徴のあるパン屋さんやカフェが多い印象の姫松駅周辺。その中でもこだわりが感じられるのは、陶芸工房を併設しているカフェ「森森舎」。店主さんはもともと専門学校の教員だったそうで、担当している学科がなくなったのを機に独立し、地元の方に喜んでもらいたいという思いで店を初められたのだとか。使用する器やコーヒーカップ、ミルクピッチャーなどは工房で制作された作品で、工房では陶芸教室が週に3回行われているほか、彫金やセメントのプランターづくりなど様々なワークショップが開催されています。
提供される料理にもこだわりがあり、可能な限りオーガニックなものを使用。無農薬・有機野菜を使ったカレーはこの店の人気商品です。
茶の湯の世界を気軽に体験
堺といえば多くの文化人を輩出した街であり、千利休と与謝野晶子も堺の生まれです。二人をクローズアップし、茶の湯や文学の世界の体験ができる施設が宿院駅のすぐそばにあります。その施設とは、2015年にオープンした「さかい利晶の杜」。この旅では、簡単に茶の湯の世界が体感できる「立礼呈茶(りゅうれいていちゃ)」を学生3人が体験しました。
立礼茶席では、表千家・裏千家・武者小路千家が日替わりでお点前を披露しており、この日は表千家の担当。生徒の中には茶道体験者もいましたが、裏千家を習っていたため、作法の違いに新鮮さを覚えていたようです。この立礼呈茶はお抹茶だけでなく、季節に合わせた堺の生菓子も味わうことができ、1人500円というお手頃な価格。椅子席で正座をする必要がなく、予約も不要なので気軽に体験できます。
お茶の知識を深めた後に立ち寄りたいお店
神明町駅を降りてすぐの場所に、堺に古くからある町屋を改装して営業する茶の老舗があります。堺の中心部は第二次世界大戦で大半が焼けてしまいましたが、「つぼ市」の看板は唯一焼け残っていて、その看板を創業の地で今も掲げています。
物販スペースでは日常で楽しむお茶から、贈呈用まで幅広いお茶が勢揃い。実際に手にとって形状や匂いを体験できるコーナーもあって、じっくりと選ぶことができます。わからないことがあれば、お店の方が丁寧に教えてくれるので安心。生徒たちも熱心に説明を聞いていました。お手頃な値段のものもあるので、旅の思い出としてお茶を買って買えるのも一興ではないでしょうか。